恋ではなく -It’s not love, but so where near.


恋かもしれないのに恋と認めたくない主人公とヒロインが幼馴染や仲間を巻き込んで感情をぶつけ合い、最終的に自分に正直になるお話です。
ヒロインの祐未がエロゲヒロインらしからぬ性格で、なかなか癖が強い作品になってます。

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【あらすじ】
舞台は山形県酒田市。共通の幼なじみ、阿藤扶の「卒業までに映画を一本撮りたい」という望みに答え、数年ぶりにお互いに言葉を交わす主人公、槇島祐未と八坂典史。
映研、写真部、デジタルメディア同好会を巻き込み、やがて撮影隊は日本海の孤島、飛島ロケを敢行する。皆で過ごすクリスマス、因縁のバレンタイン。友情と恋愛、そしてライバル心に翻弄されながらも、彼らは時には映画を、ときには写真を撮り続ける。


だが、卒業後の進路が異なる彼らに、残された時間は決してそう多くはなかった。
そして、クランクアップの時、彼らが選ぶ選択とは?(公式HP引用)

【シナリオ】
サブキャラの亮輔の病床に臥せる妹・朋子の為に自作映画を完成させよう!というお話です。ある程度撮影が進んでいるところから物語が始まります。扶が監督、亮輔が脚本、典史が撮影、祐未が主演女優、好佳他部長らが資材調達。終始撮影機材の専門用語が飛び交いますが、マウスオーバーさせると逐次TIPSが現れる親切仕様となっています。こんな感じ。

頻繁にキャラクターの視点が切り替わる所謂群像劇システムは、成功であったとおもいます。

エロゲとしてはかなり異色な、ヒロイン固定でくっつける男サブキャラを選ぶ形式。ネタバレしてしまうとサブキャラとヒロイン祐未は良い感じになりますが、結局くっつきません。祐未と典史の気持ちの再確認のためだけに消費されます。所謂ダシにされるというやつです。泣けますね。
基本的に扶と典史が祐未を取り合う形ですが、男2人の静かな闘いはなかなかドラマでした。見応えあると思います。


祐未というヒロインですがこれまためちゃくちゃ癖の強い面倒くさい性格で、エロゲらしからぬ存在となっています。萌えイチャゲーしかやってこなかったエロゲーマーは間違いなくイライラして放り投げると思う。学生の身分ながらプロの卵として既にモデルで活躍しており、いちいちプライドが高いです。全ては典史や、あるいは扶への対抗心からこの道を選んだ彼女ですが確かに荒波に揉まれているだけあり普通の高校生よりは成熟しており、その心情描写にも納得。ですが高校生らしいというか、あるいはそれより幼稚なわがままな側面があり、これに扶は振り回されこっぴどく振られる始末。普通の恋愛ゲーを予想したらかなり抉られます。途中までサブキャラとくっ付くわけですがルートによっては典史の気持ちがハッキリしないままに典史を押し倒したり、あるいは典史が勘違いして性衝動を抑えられず祐未を押し倒したりと、寝取り寝取られじゃないけれどややこしい関係に発展します。形式的には三角関係ですが、祐未にサブキャラクターへの恋情はそこまでなく、結果告白をお断りして典史のもとへと… 「うーんなんか違うんだよなあ…」からの典史への乗り換えにうわあ汚い女だ…と思われること請け合いでしょうか。相手からの好意には気付きつつも告白されてやっぱり何か違うと拒絶し、典史との気持ちのすれ違いをやり直そうと考える。どのルートもそんな感じ。ずる賢いヒロインだと思うんです。祐未は恐らく意図してやってませんが、プレイヤー視点からはそうとらえてしまう。で、結果祐未の典史への感情は(おそらく)恋慕ではないのですが、お似合いな2人がくっつきます。
一方で典史は中学時代の因縁から祐未に憎悪めいた感情を持っているところからスタートします。彼の方がむしろ素直な好意を感じ取れますね。8ミリを常に祐未を意識して捉えている。扶に物語の冒頭でカマかけされたときから祐未を意識していることはよく感じ取れます。
結局終始典史の気持ちも祐未の気持ちも双方向に向いているので、サブキャラクターがただただ不憫でなりませんね。
特に意外性のあったのは林兄妹ルートでしょうか。朋子の手術が成功するまで典史は朋子の彼氏として過ごすルートです。エロゲならではの幼少な女の子の賢さが光るルートでした。朋子の声の人の熱演の良さよ。死ぬ前に大好きな人と、典史とえっちしてから死にたいと祐未にすがり泣く朋子。

(Ⓒしゃんぐりらすまーと 2011-)

泣き落としにくるんだろうなーと、手術失敗朋子死亡フラグビンビンでしたからね。どっこい生きてましたからびっくり。このルートでは典史が彼氏の振りをしているうちにもしかしたら朋子のことが好きなのかもしれない、でも朋子の手術が成功したら朋子は本気で典史とくっ付きたがっているため彼女を裏切れず朋子に寄り添わなければならない、そうなると漸く本当の気持ちを伝えてくれた祐未はどうなるんだ…という悩ましい場面で祐未が朋子に取られるなんて嫌と、あっさり典史を押し倒してしまいます。なんかリアリティがあるとは思いませんか。中途半端な気持ちを抱いた典史もクソですが、この場面で女の涙で典史をもぎ取った祐未もなかなかのクソアマですよ。そして術後、典史の気持ちが乗っていないことに素早く気付いた朋子の大激怒&拒絶シーン。
というこのルートが強烈すぎてTRUEより印象に残ってますね。エロの18禁ではなく、不道徳の18禁てまさにこれ。
TRUEが霞んでしまった。TRUEもね、しっかり伏線回収してくれたのは良かったんです。ですが、TRUEの新キャラ2人を「恋ではない何か」のタイトルに無理やり合わせて林兄妹とくっつかせたのは本当にナンセンスだと思います。列車エンドも泣かせに来てる演出だと思うのですが、祐未のキャラがブレており、ドッチラケでした。尻すぼみとはまさにこれ。TRUEいらなかったのかもしれないし、少なくともカップル量産で終わらせたのはまずかった。台無しです。
あと、作った映画が見たかったな。簡素でも場面場面でもいいから、らくえんであったような完成させたエロゲムービーを作品中で鑑賞できるとか、そんなオマケがあれば凄く良かった。いかに典史が祐未を追いかけているかが分かるようなね。まああんだけ祐未の写真撮り続けてれば嫌でも好きは伝わってきますがw

【絵・演出】
トモセシュンサク氏の流石というべきタッチです。表情が移り変わるところまで丁寧に描写されており、臨場感はあります。ただ、えっちしーんはあんまりえちいくないです。
朋子ちゃんとのえっちしーんがなんでないんや。そもそもえっちしーん少ないし、祐未とのえっちのみです。なんでや。
あと、OPムービーを作中フルで見れたのが豪華でしたね。心を掴む演出はgood。でも、ここにお金使うんじゃなくて朋子ちゃんのえっちしーんつけてくれ。
【声】
祐未演じる声の人が有名なお方ですが配役ミスを感じます。イマイチ熱演を感じられず、終始怒っているように喋っちゃってるんですね。
それより朋子の声の人がお上手でした。まあロリキャラ補正あります。
【音楽】
OPは結構有名ですよね。めちゃくちゃ良い曲なので聞いてください。
【まとめ】
萌えゲー恋愛ゲースキーには不向きな作品です。サブキャラに感情移入すると寝取られた気分になるので、そういうのが好みでない人も避けた方がいいかも。
朋子ちゃんと扶くんがただただ不遇過ぎて泣けるゲームでした。泣かせにくるシナリオというより、2人の扱いが悲しすぎて泣いてしまった。だからといってとってつけたようにTRUEでカップルを量産したのは許されない。ユーザーが求めているのはそこじゃない。違う、そうじゃない。色々惜しい作品でした。
とにかく祐未が好きになれないと投げてしまうと思うので、この感想参考にしてこれでも祐未好きになれそうなら是非プレイしてみてください。でもなんだろ、朋子ちゃんルートとか特に恋愛エロゲへのアンチテーゼ的な何かを感じとれました。


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ミュルミナ

エルフの森のオークさんです。 シミュレーション系やRPG系を好みます。変身ヒロインモノに目がない。抜きゲーや同人ゲーも好みます。

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