らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~


島民ERG部美少女ゲーム感想通算200作品目達成おめでとうございます。

節目ということで、ひとつ有名作品をば。端的に紹介するとエロゲ製作の裏話ゲーです。

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名台詞「堕落する準備はOK?」

過去に秀作『ロケットの夏』(ショさん紹介)を生み出した、テラルナの鬼作怪作です。

振り返ると何年か前にアニメーターの職業劇を描くアニメが大ヒットしましたね。近年でもそのオマージュ作品がちらちら見受けられます。流行ですかね。まあそんな時代の流れを随分先取りして生まれたのが本作(2004年発売)です。(もっと過去を辿れば同人誌を作るLeafさんの『こみパ』とかありますが…扱うテーマがそも異なりますし)

物語でエロゲ製作するエロゲなんてのは初出のよう。

本作品を発売後テラルナは解散し新ブランドを立ち上げたようなのですが、何やらヒト悶着あったらしく過去作品の復刻版も出きらないままに永久活動休止状態…?

とまあそんな背景は置いときまして、 「堕落する準備はOK?」

【あらすじ】

オタクな主人公(にー兄ちゃん)は大学受験の追い込みに迫られる中コミケに参加し「非エロ・オリジナル」で作家のオナニーと揶揄されるオリジナル同人誌を売り込む。義理の双子姉妹を売り子にさせて。

終了間際。なんと数少ない購入者はミニマムな少女と、新進気鋭のエロゲブランドの原画さん(巨乳美人)であった。主人公は原画さんに憧れを抱く・・・・

そしてまあ勉強不足の結果志望大学に受からず、滑り止めもとことん滑り浪人を決める。浪人生活は東京に移り住んで予備校に通うことを決意。

憧れの東京。憧れの秋葉巡り。何故か一人暮らしを邪魔しにくる姉妹。

エロゲショップにて。暴れ女がエロゲのCD-ROMを割ってしまった為に大金を叩いて購入してやる羽目に。まだまだお金に余裕があった為パチンコにずぶずぶとハマる。お金を飲まれる。予備校では初恋初彼女の1つ後輩が現役生として受講していた。双子姉妹にどやされ貶され、必死な元彼女を見習い、なんとか教科書に噛り付かねばならないところに… 一本の電話が鳴る。無名のエロゲブランドのディレクターからであった。なんとエロゲに携わるチャンスが降ってわいたのだ。どうする?

…ここから主人公の「堕落」の人生が幕を開ける。

【シナリオ】(ネタバレしてます)

シナリオは高速テンポで進行します。特に双子姉妹の掛け合いが絶妙で、メタネタも交えてなんでもありのコミックショーを演出してくれます。声の人がね、めちゃくちゃお上手です。早口捲し立てで笑わせて貰いました。好みは分かれるかもしれませんが非常に楽しめます。現実離れした設定はほぼなく(可憐の家庭事情ぐらい)、地に足を付けて現実的に物語が展開されるため、接しやすいテーマといえます。主人公は素直でヒロインはキャラが立っています。

主人公は原画担当で雇われることになるのですが、1月経ってしっかり給料は貰えたもののした仕事はパシリ雑用のみ。あれ?原画の仕事は?原画が動くためにはシナリオライターがある程度のプロットを練り、ライターの指示で場面ごとにラフを細かく作らねばならない。

その大事なシナリオライターは…逃走?!

ライターが居ないから原画が描けない。原画がないからCGグラフィッカーが仕事できない。プロットが練られていないからイメージソングも作れない。声も入れられない。何もデータがないからプログラムも組めない。外注の仕事も組めない。

この製作現場は…やはりおかしい。

エロゲ製作現場なんてスタッフが飛ぶことはしょっちゅうであると描かれている(2017KOTYeで原画家に逃げられた某作品が記憶に新しい…)。

あと一か月で発売予定日。進捗は「0」ディレクターが本社に泣きつきなんとか延期を勝ち取る。シナリオライターのピンチヒッターを用意できた彼らは(ルートによる)猛烈な追い込みにかかる。終わらない原画作業。終わらない着色。終わらないプログラム。終わらない渉外営業。終わらない原画…ルートによっては主人公は精神耗弱状態に陥る。終わらない着色。倒れるスタッフ。帰れないスタッフ。滋養強壮ドリンクを流し込み、血を吐き、スタジオに2日泊まり、3日泊まり、…

過酷な製作現場が描かれている。

何とか体験版製作・配布まで漕ぎつけるも… 待っていたのはネットでの厳しい中傷。迫りくる大学入試。迫りくる締切。迫りくるスタッフの家庭事情。そして、業界ならではの…

後半は圧迫感を演出し、悲壮感を際立たせてくれています。「堕落する準備はOK?」という名キャッチフレーズの通り堕落の一途をたどります。もう、戻れない。しかし死ぬ気で辿り着いたとき、オークさんも感動してしまいました。

話の体験版のところで実際にムービーや声入れ(下手に演じる)まで作って流してくる芸の細かさ。

双子姉妹がいることで発生するキャッチーさと、後半のシリアスがうまく作用して面白い味を出しているように思います。

クソゲーと揶揄される作品にもその製作過程で紆余曲折があり、不幸にもピースが足らず発売に至るわけなのですね。いやまあ商業作品なので、高いお金取ってるので失敗作ばらまいちゃだめなんですけどね。マスターアップ直前まで行って発売せずに頓挫なんてのは一撃倒産レベルなので、よくわかりました。サポートの薄い弱小・新参ブランドは特にこのような苦労を多数して這い上がってきているのだなと思うと泣けてきます。

エロゲーのバイブルと評される本作ですが、なるほどプレイして来た数が多いほど、よりシナリオのメッセージ性を強く受け取れると思います。遜色ないんじゃないかなあと。

あと選択肢の選び方によっては寝取られが発生します。おおいおいおいおいおいw

【システム】

システム周りは最低限でお粗末にも良いとは言えません。ちゃんと既読skipが起動してくれるだけでもありがたいか。ちなみにXPまで対応ですがwin8.1でもエラー落ちせずにサクサク動作してくれました。(win10 64bitでも動作確認)

パケ版は音声不良があるそうですがなんとかパッチを拾ってこられればプレイできそう。

【キャラクター】

杏&亜希…押し引きの性格は真逆ながらも、主人公に対する鋭いボケ・ツッコミがまぶしい双子姉妹。登場回数も多く、本作の魅力を引き受ける。個別での杏の芯の強さは好きになっちゃいます。

可憐…猛獣系女子。黙っていれば可愛いの典型。そしてどっぷりオタク。レ○プモノが大好きという歪んだ性癖。彼女もまた本作での登場回数が多く、魅力的な発言を残すキヒロインなので注目したい。個別ルートの可憐可愛い。

【声】

文句なしだと思います。安定感が素晴らしい。

【原画・CG背景】

この時代にはよく見られるタッチで、今となっては万人受けするものではありません。ですが原画や塗りでこの作品を判断してしまうのは勿体ないかなと思います。読み物として楽しむ作品です。

【えちちしーん】

抜けません。

【音楽】

ギュインギュイン歪んだギター音メインのBGMを取り揃えており、他ゲーと一線を画すかっこよさがあります。音楽って大事だなと。紙芝居ですもんね。

『star boy,ether girl』と曲調を変えた『star boy,ether girl again』が染み渡ります。

『the case of us』はもうめちゃくちゃかっこいい。耳で楽しませてくれます。

【まとめ】

選択肢のフラグの都合か、同じ話を回されがちでだれてしまいやすいのが難点かも。オークさんも後半ルート回収してたらだれてきました。可憐ルートは先にプレイした方が良いでしょう。

パケ版は店頭になければネットにも出回っていないので入手困難だと思います。DL版で楽しめるので是非。おまけシナリオも結構アツいので2度おいしい。みかルートのエンディングはオークさん好みのもので癒されました。ハッピーエンドのエンディングばかりではないので、尚更印象深く残ります。人を選びますが、エロゲー好きなオタクならある程度呑めるんじゃなかろうか… 主人公も人間臭みがありあんまり外れたことはしでかしませんし、感情移入しやすいので。世代のサクチョおじさんあたりが気合いあればまた異なった視点からレビューしてくれるかもしれません。

投稿数的にもひとつ節目を迎えましたが、これからも島民ERG部をよろしくお願いします。管理者に代わって勝手にあいさつしちゃった。

 

 


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ミュルミナ

エルフの森のオークさんです。 シミュレーション系やRPG系を好みます。変身ヒロインモノに目がない。抜きゲーや同人ゲーも好みます。

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