物語としての未完成ぽさやら、暁の護衛の続編としての矛盾やら色々言われてますが、
物語に引き込むライターさんの力量、共通パートのシナリオの重厚さ、CG等非常にレベルの高い作品です。
(なお、暁の護衛未プレイ民の感想です)
【大まかなあらすじ】
舞台は人工地下都市。地上は過去の大災害により汚染されてしまい、住めなくなりました。主人公が住む街ホープタウンはホログラムの人工青空があったり、自然あふれる公園があったり。彼はホープタウンの学園の非常勤講師をして暮らしています。両親は幼少期に死別しており、遺された大きな家に仮面兄妹の妹・秋と訳ありでオモテに出せないメイドアンドロイド・アクセラと3人で暮らしています。
主人公は精神の病気持ちで治療中です。爆発事故で最愛の姉を失ってしまい、天才ともてはやされた過去は崩れ去り、当時のことを思い出そうとするとPTSDを起こし記憶が混濁してしまいます。謎の強迫観念にかられており、姉は主人公のことを恨んでいるかのように主人公がピンチに陥る度に無言で目の前に現れます。
そんなこんなで講師として働きながらなんとか社会復帰しようと頑張っている最中、公園で金髪美少女・希望と出会います。彼女に勇気づけられた主人公は一念発起し、講師を辞めて兼ねてから知人に薦められていた特務官(様々な交渉・駆け引きに携わる何でも屋の公務員)の見習いとして働くことに・・・・
特務官として働く中で様々な困難を解決していき、研究施設址でコールドスリープ状態の少女を発見・保護したところから物語が大きく動いていきます。
【シナリオ】
一つの問題⇒解決⇒問題発生⇒解決という流れではなく、色んな伏線を張りつつ共通・個別ルートの中で少しずつ回収していく感じです。共通⇒個別⇒共通⇒個別⇒個別エンドという形式ですがルートによってはお話の問題が解決されきれずに終わったり、完全スルーで終わったりします。全ルートプレイして別主人公視点でプレイしても、張っておいた伏線がいくつか回収されないまま終わります。
続編ありきなお話の作りながら、続編でもあんまり触れられなかったとか・・・・ 暁の護衛と同じライターさんで、話を広げるのが非常に上手でギャグも面白く、どんどん読み進めたくなる作話力はあるのですが、話を閉じるのがヘタクソというか過去作品に共通するものがあるようです。起承転結の結がないやつですね。
共通ルートはかなり面白く、ボリュームもすごいのでだれずに読める人は満足いくものでしょう。
個別ルート合わせると更にビッグマック追加みたいな感じ。でもドリンクがサーブされずお口の中でもにょもにょしたまま終わってしまう。そんなイメージで概ね間違いないでしょう。
例えばユウキとか。前作にかかわる(?)重要人物であり、彼の過去に和葉が言及していながら、結局何者かわからずじまいでした。
希望ルートは大河原との一騎打ちが見られるかと思いきや、投げっぱなしでエンディング。いやいや、プレイヤーが求めているのはその続きだよと。
恭一と恋の関係についても示唆しておきながら結局何もわかりませんでした。
【システム面】
特に問題はないでしょう。スムーズにプレイできました。
選択肢で笑わせに来るのは個人的に評価しています。
【キャラクター】
アクの強いキャラクターは秋ぐらい。秋ルートは非常に楽しめました。記憶を巡る物語と銘打っておきながらほとんど記憶関係なくねとかつっこみたくなりましたが唯一彼女のルートはそれにあてはまるのかな。プレイして損なしです。
凛のアンドロイド察知能力が思わぬところで働きおおっとなりましたが、彼女のルートでは発揮されず。意味ありげな設定を持たせるならふんだんに使ってほしいですね。
【絵】
トモセシュンサク氏の美麗な原画を見られます。絵買いでも満足いくものだと思います。
【声】
こちらも特に違和感なし。秋の声の人が好みでした。
【音楽】
主題歌・OPが良いのでそちらで購入を決めてしまっても外れではないと思います。
恭一ルートの挿入歌が好きでしたね。
BGMもゲームを盛り上げるのに一役買ってくれています。
【まとめ】
ゲームの世界に没入できる、楽しめるお話かと問われれば文句なしで評価したい本作。
残念なのが尻すぼみというか、結の締まりが悪いという・・・。
和葉ちんといちゃこらしたければ続編を購入しましょう。
暁の護衛3部作の150年後の世界観ですが、前作を未プレイでも十分楽しめました。
ミュルミナ
最新記事 by ミュルミナ (全て見る)
- 穢翼のユースティア - 1月 22, 2020
- 恋ではなく -It’s not love, but so where near. - 12月 8, 2019
- 機械仕掛けのイヴ Dea Ex Machina - 12月 7, 2019