絵とタイトルに惹かれて購入いたしました。
フクザツな女の子の思春期にうまく焦点を当てた設定だったと思います。
あらすじや世界観は公式サイトにて。
【登場人物】
有須祐二…主人公。お姫さま病を救うために夢が島へとやってきた。やせ我慢しがちな性格。祐二は「虚無感」を感じることで強い「王子」の力を引き出している。代償に力を使うと、「死にたい」と強く思ってしまう。その感情をも抑え込むのが祐二であるが、自分にうそをつくことで強い力を得ている「うそつき王子」。
栗宮みかん…主人公の一学年先輩。おっぱいキャラであり、いじられやすい。ついた渾名が「饅頭」。「後悔」が<目覚まし>となり発現するお姫さまはレベルBの「織姫」で、流した涙が牛乳となり周りを洗い流すという<望奏><天に掛かる涙(ハイパーミルキーウェイ)>を使う。
月丘泉…箱入り娘で、幽閉気味な生活を送ってきたため外の世界の事象すべてに興味を抱いている。知りたい、見たいという「好奇心」が加速するとお姫さまを発現してしまう。発現するお姫さまはレベルSの「ラプンツェル」で、自在に伸ばせる髪を操り、反意を抱く人を、あるいはもっと大きなものも縛り上げてしまう<望奏><好奇の髪縛り(ヘアー・ザ・ロック)>を使う。主人公とは幼馴染であったがとある事件がきっかけで泉は距離を置いてしまう。
恋ノ河リイナ…主人公と共に風紀委員(キャリバー)を務める同級生。クールで優等生、ラーメン好き。ルートでは一転してデレデレモード全開に。発現するお姫様は「シンデレラ」で、「寂しさ」が<目覚まし>となる。シンデレラの望奏<魔法時間(マジックアワー)>はレベルSの強力な異能であり、夢を現実のものにしてしまう。
有須星子…主人公の実妹。しゃべり方に癖がある。お兄ちゃんっ子であり、兄を追いかけて学園に編入した。彼女が抱えるお姫さまはレベルAの「人魚姫」であり、兄への「嫉妬」が<目覚まし>となる。<望奏><海ノ藻屑(チェンジソープ)>は無生物を消し去ってしまう。
☆共通ルートではみかん、星子、泉がお姫様を発現しますが、リイナはルートでのみ発現します。
【専門用語】・・・TIPSを参考にしております。
<望奏>…メルヘン。レベルB以上のお姫さまが使える異能のこと。
<帰我の剣>…ヴォーパル・ソード。お姫さまの感情を鎮めることができる、祐二が用いる<望奏>。剣の形をしているがお姫さまを傷付けることはしない。
<王子>…お姫さまに対抗できる唯一の力を持つ。お姫さまより圧倒的に発現例が少なく、国の監視下に置かれる。性別は関係なく、過去に祐二の師である貴子が王子をしていた。思春期が終わるとともに、その力が失われてしまう。
<お姫さま>…<お姫さま病>によって思春期に目覚める女の子の別人格のようなもの。少女たちは何らかの「思春期」を抑圧することで胸にお姫さまを宿す。レベルE~Sの強さ(深刻さ)がある。
<お姫さま病>…プリンセス・シンドローム。思春期の少女たちが抱える多重人格障害。現れる人格を<お姫さま>と呼ぶ。病理の重たいお姫さまは<望奏>と呼ばれる異能を使う。
<魔女>…お姫さまは通常思春期が終わるにつれ発現しなくなる。しかし、思春期を拗らせた少女は稀に治らず、魔女と呼ばれる存在となる。
【シナリオ】
人格障害を扱った難しいテーマですが、有名なお姫さまの物語をうまくパロディ化しており、あまり暗い展開にはならず(主に星子のパワーボケで)ややギャグ調に進んでいきます。転換の場面で織姫・ラプンツェル・シンデレラ・人魚姫のシリアスな挿話があり、緊張感を持たせています。
王子・お姫さまの設定にあまり違和感を抱くことがなかったのが高評価です。
各ヒロインとも間延びしない構成で、コンパクトで読み進めやすかったです。メインヒロインの泉ルート、リイナルートでは 思春期が終わらない女性・<魔女>が登場します。この設定も外れがなく、うまく引っかかっていました。
掛け合いは星子とみかんのキャラが強すぎてややメインヒロインの二人が萎みがちではありましたが、それぞれのルートでは個性がよく出ていたと思います。
ちょっとよろしくないなーと思ったのはリイナルートで主人公と2人で1つの二郎系ラーメンを食べるシーンです。主人公が「これはマナーがよくないんじゃないかな」とリイナを諭していたので許容できますが、ジロリアンのオークさん的にはナッシングな展開でした。
泉ルートのクライマックスでは「俺は絶対にお前をハッピーエンドに連れていく」等、主人公のクサイセリフでまくりでしたが、まあこういうのも悪くないと思います。
【声回り】
みかんの声の人が好みでした。みかんは好みが分かれると思いますが、キャラクターの性格に沿った良い人選だと思われます。
【機能】
ボイス登録が付いているのは嬉しいですね。あとTIPS機能。この手の作品では専門用語のオンパレードになりますが、しっかり後から確認できる嬉しいシステムとなっております。ユーザー思いが感じられました。
【総評】
渦巻さんの作品は絵が特徴的で主題歌やBGMもよろしいので惹かれるものがありまして、この作品を手に取りました。
なんちゃってな学園コメディものかなと予想していたのですが、芯のある、意外性のある一作品でありました。オークさんは高評価をつけたいと思います。
ミュルミナ
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