前作の千恋*万花が良かったので、信用買いをした今作。
かなり純度の高いキャラゲーという認識で間違いないでしょう。
中二的定番設定と言っても良い、裏の顔を持つ主人公が人知れず悪と戦う系のお話です。
■テキスト・シナリオ
※色々言いますが、自分は本作が嫌いでは無い事を予めお伝えしておきます。
さて、いきなり本作の大前提に関する件ですが、主人公がエージェント系のお話はその性質上、よほど敵が利口というか想像を越える手口を使ってこない限り、主人公をピンチに陥らせるには主人公サイドがミスをする展開になる必要があるという大きな欠点が有ります。
それゆえ、主人公(もしくは所属する組織)はエージェントの癖にありえないミスをすると言われたり、無能云々と責められるパターンに陥りがち。
本作もまさにそれ。
つまるところ、この設定を決めた時点でシリアスは捨てるのが賢い選択なのですが、中二の魂がそれを許さないのでしょう、がっぷり四つに組み合いに行ってしまって寄り切られてしまう運命を辿ります。
アーメン。
というわけで、早々にシナリオは諦めるという判断を下すに至りました。
まともに考えてしまうとストレスだし、粗が気になってしまいますからね。
ただ、何も語らないわけにもいかないので少し感想を言わせていただくと、茉優シナリオなんかは特に残念。
他ルートによっては最後の良心的な有能さを見せる父親ですら、このルートではポンコツ化しますので。
とまぁそのへんは置いておいても、作中で主要な事件の背景が語られるルートと語られないルートが有り、その主犯となる人物への対処がされたりされなかったりするのはどうなんでしょう。
されなかったルートの場合、ハッピーエンドっぽく〆てはいるものの、奴がこのさき行動に出るのでは……と、安心できないまま終わってしまいます。
はい、言い出したらキリが無いのでお話についてはここまで。
あ、最後に1つ。
「時と場合」はOJTじゃなくてTPOだよね。
OPムービーの入れ方に工夫があって好印象でした。
このへんはこれまでに何本も作って来たメーカーの余裕のようなものを感じます。
■キャラクター・ビジュアル
当作のセールスポイントはここ。
全てはキャラが愛されるようにと考えられて作られている(稀に上手くいっていない部分があるとはいえ)と言っても過言ではないでしょう。
個人的に一番嬉しいのは、こもわたキャラのSDカットに力を入れてもらえていた点。
カット数の多さもさることながら、差分を大量に投入して動きを見せ、小芝居をしてくれるところなんかは最高でした。
とにかく可愛い。
一枚のイベント絵にされるよりも、キャラカワイイ指数(造語)を上げるための貢献度は高いと思います。
各キャラに最低1箇所は印象的なSDシーンがあるほどです。
ちょっと例を上げると、千咲さんの痴漢シミュレーションシーンとか、羽月さんの1人芝居シーンとか。
個人的にはこれだけでも元は取れました。
ビジュアル以外のキャラクター面でも、各ヒロインは魅力的でした。
自分はもともと猫かぶりキャラだったりムッツリキャラだったりが好きなので、常にご褒美状態だったというのも大きいです。
そんな魅力的なヒロイン勢に対して大健闘だったのが、唯一のサブ攻略キャラである千咲さん。
本作では貴重な(厳密には唯一ではない)貧乳キャラ。
というかこの子、普通に凄く良い子なので、ロリっ子だからとか貧乳だからとかそういうのは一旦置いておいても好印象。
仮に長身巨乳っ子だったとしても、この評価は自分の中では揺るがないと思います。
使い方に工夫の見られたOPムービーですが、内容は前作と比べると劣化したように思えます。
例によってアニメーションパートが足引っ張っているわけですが。
セルからデジタルへの移行期みたいな塗りが安っぽさを醸していたり、茉優さんの(幼少期?)カットなんかはせめてローリングくらい直した方がいいのでは?といったりな出来。
まぁこのへんは、このメーカーのお約束みたいなものなので、目くじらを立てるようなものでもありません。
■音まわり
CVはいちいち豪華。
マッチングもばっちりで文句有りません。
個人的な好みで、あやせさんの悪態をいちいちお気に入り台詞に登録していたら凄い事になりました。
これ聞いているだけでも楽しめる。
一番のお気に入りは、寝起きの一言です。
EDも各キャラごとに楽曲が用意されていて、歌詞もそのキャラに相応しい内容になっており、最後までキャラを大事にしている作りで安定感がありました。
OPをツインボーカルにした理由はわかりませんでしたが、なんとなく豪華感は出ていたと思います。
■満足度
総合的には前作を越えられなかったものの、良い意味でも悪い意味でもキャラゲーの中のキャラゲー。
最初からキャラゲーのつもりで取り組めば、ただただかわいいキャラを愛でる事ができますのでオススメです。
最後に、本作プレイ後は猛烈に前作を再プレイしたくなった事をご報告させていただきます。
めたすら
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