購入動機はデザインの良さ。
サイトもそうだしUIもそうだし、タイトルロゴもパッケもそう。
この手のデザインに弱いのである。
あとは、ムービーとその音楽、塗りと雰囲気。
何となく、珍しさを感じて購入を決定したのを覚えています。
勘違いしてしまいそうになると思いますが、当作「Re:LieF」はシナリオゲーではなく、良質な雰囲気ゲーです。
■テキスト・シナリオ
冒頭、なんとも予想外?な始まり方で「お、どうしたどうした?」となって進めてしまう、ちょろい自分。
言われてみればヒロインの年齢とか全然気にしていなかった。
日向子視点の冒頭は、なんだか少女漫画の展開のようで、気持ちが良かったです。(少年漫画は読まないけど少女漫画は読むので)
こんなところでシンギュラリティというワードを見かけるとは思わなくて驚いたと同時に、この作品の仕掛けがわかるようになっています。
これは親切設計と捉えるべきなのか迷うところ。
頻発する画面ノイズなどからして、気付かせる気満々だったとは思うのですが。
制作側が、最後の最後に種明かしをするつもりだったとしたら、ここまで露骨なのは避けた方が良かった。
シナリオゲーでは無いと捉えているので、ストーリーに対してそれほど細かく文句があるわけでは有りません。
ただやはり、テーマとギミックの食い合わせが悪かった感は否めません。
お互いを有機的に活かすシーンは結局有りませんでした。
主人公は、エロゲの主人公にしてはかなり早漏。
■キャラクター
わりと何言ってもネタバレになりがちなのでHシーンの話だけしかできませんが。
日向子さんは初Hの時に愛撫で濡れたパンツを、「あげる」と自分から提案してくる上に、処女なのに秘部を自分で広げておねだりするエロ神様。
普段のちょっとぽやっとしてるキャラがきちんと描けているので、そのギャップもあって卑猥。
流花さんは、ベタだけど普段しっかり者なのにHの時は受け手になるというのは良い。
普段のしっかりっぷりを上手く描けていないと効果が無いので、本作では成功。
ヒロインではこの2人がリアル系キャラで、ももとユウ&アイがスーパー系ファンタジー系キャラという棲み分け。
雰囲気のために居るのが前者で、ギミックのために居るのが後者というイメージなので、自分は専ら前者推しでした。
でもたぶん、人気キャラはアイ。
サブキャラの中村さんが天真爛漫でアホかわいい。
孫にしたい。
■ビジュアル
雰囲気ゲーとしての貢献度が高い、本作のビジュアル面。
なんとなく、正面顔は若干苦手なのかも知れません。
そして、男キャラと女キャラでクオリティの差が結構有ります。
女キャラがかわいいので問題はありませんが。
かなり質感をリアルに寄せている塗りなので、背景との馴染みがとても良いです。
これもまた、雰囲気ゲーとしての出来を良くしている要因でしょう。
塗りが違うだけで、「恋愛リベンジ」の絵と全く違う印象で最初驚きました。
リアル寄せといえば質感の他に、髪色や服装も、出来るだけありそうなラインで揃えてあります。
これもやはり意図的な采配でしょう。
作品世界に対しての雑さ(とりあえずラインナップを揃えとく、みたいな)が無いところに、好感が持てます。
H的な部分では、如何せんシーンが少ない(シナリオ中は各キャラ1回、エンド後1回追加)ため、ボリュームとしては物足りません。
リアル寄せの塗りでモザイクが細かめであるせいもあり、修正がかなり薄めに見えます。
卑猥でよろしい。
一番残念だったのは、公式サイトに存在して非常に気に入っていた、ダルカワなSDが本編では……。うん。
■音まわり
雰囲気ゲーとして欠かせないのはBGM。
有りがちではありますが、本作もピアノ曲をメインとしたラインナップで、作品世界を彩ります。
BGMの使い方も細かく配慮されています。
例えば日向子シナリオの再度の自己紹介のシーン、不安からそれを振り払う時にBGMが同じ曲でも変化したのは良い演出。
高音域を削ってこもらせた所からの開放は、心情とのリンクが綺麗ですっと入ってきた。
ENDクレジットでスクリプターの多さに驚くだけあります。
OPムービーは、アニメの部分が微妙(なびきは難易度高いからやめた方がいい)な事を除けば、元々のデザインの良さにも助けられて非常に印象的。
透明感の有る楽曲に綺麗に乗っていて、自然と頭に入って来ます。
ザ・雰囲気ゲーのOP。
気になった点があるとするなら、日向子の声はもう少しキーを下げた方が良かったかもというくらいでしょうか。
■満足度
個人的にはここ数年で一番の雰囲気ゲーでしたので、当ブランドの次回作に期待しています。
雰囲気ゲー好きであれば、ほぼ間違いなく満足できる出来でしょう。
制作サイドの細かい気遣いとこだわりが感じられます。
シナリオ面ではそれが裏目に出た形で、お話として驚きや感銘が無いと満足できないという方にはオススメできません。
めたすら
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