まるめる ~ソウシンシャは@未来~


未来から過去にメールを送って、そこから選択肢が派生するアドベンチャー。
カワイイ絵とシステムが気になって購入。
実際イベント絵はカワイイです。
そこは問題無し。
立ち絵も、絵自体には問題有りませんでした。
その他に関しては後述。

 

■テキスト・シナリオ・システム
過去にメールを送って新しくストーリーを派生させるシステムを謳ったこの作品。
OHP等の宣伝を見る限りでは、そのメールによってあたかもシナリオが樹形図のように広がってゆく様を想像してしまう人が多いのではないでしょうか。
かく言う私もそのような夢を見ていた部分はあったのですが、結論から言ってしまうとこのゲーム、全ヒロイン分のシナリオが一本道で繋がっています。
簡単に説明しますと、以下のような構造です。

スタート → ヒロインAシナリオ終了 → 過去にメール送信 → 最初から(でなくても良いですが)やり直すと該当箇所にメールによる選択肢出現 → 初出の選択肢を選択 → ヒロインBシナリオへ → Bシナリオ終了 → (以下全員分繰り返し)

途中ちょいちょい別の選択肢があったりしますが、ストーリー上の正しい選択以外は即BADで終了なので、実質無いようなものです。
全ヒロインルートを合わせた、物凄く長い一本道シナリオという構造なのがご理解いただけたかと思います。
流石にこれにはガッカリしました。
余談ですが、OHPのシステム紹介ページ下半分に例として出ているシーンは、それ自体存在しなかった気がします。
時間の都合で削られたのでしょうか。
謎です。

本作はそんな残念システムなのですが、たとえ一本道であろうともストーリーが良ければ気にする事無く読み進められるハズです。
良ければ。

とてもじゃないけど好感の持てない主人公や、描写不足で魅力が伝わってこないヒロイン達。
一本道だから整合性をとるのは容易なはずなのに、何故か食い違う時系列。
ある意味サスペンス調であるにも関わらず、だいぶ早くから消去法でバレバレな犯人。
こういった諸々の要素が絶妙にブレンドされて、なんとも言えない残念シナリオが構築されています。
それに加えてHへの導入が非常に弱いのも大きな欠点です。
こういう言い方はアレですが、低価格の抜きゲーと同等かそれよりも弱い。
おざなりと言っても良いでしょう。
「これエロゲなんで、とりあえずHシーン入れときますね」みたいな感じ。
ノルマのように各キャラ3シーンづつきっちり有るのがまた義務的な雰囲気を醸し出しています。
私はHシーン数が1つでも作品によっては構わないと思っていますが、Hシーンをおろそかにしても良いというわけではありません。
やるならちゃんとやって欲しい。

最後にUI及びコンフィグに関してですが、一昔前の作品かと錯覚するくらい調整できる項目が少ないです。
ここでもまた、制作側がプレイヤーの方を向いていない事を実感できます。

唯一、シナリオとシステムが咬み合ったのがラストシーンです。
過去に送るメールというものを上手く使って、良い雰囲気で締めくくってくれました。
もしかしたらこのゲームは、このシーンがやりたかったがために作られた物なのかもしれません。

■キャラクター
・主人公
“完全に自分が原因で遅刻したくせにそれを注意されて腹を立て、相手に喧嘩を吹っ掛けようとしたのを止められて不貞腐れる”というコンボを序盤のワンシーンでかましてくれます。
これを好きになれという方が難しい。
初対面の大人にも失礼な態度でタメ口。
居候として世話になっている家主にも同様。
どこからどう見ても出来の悪いガキです。
ライター氏は親しげな態度と不遜な態度の違いがわからないのでしょうか。

・ヒロイン勢
何を言ったらいいものやらと悩んでしまうくらいキャラクターが薄いです。
原画さんパワーで皆ルックスは非常に良いのですが、その中身は手抜き工事かハリボテ状態。
素直になれない世話焼き幼なじみ(渚)、高飛車でおカタイお嬢様(奏)、奔放な巫女(佐和)、生意気な毒舌系ロリ(蛍)、超常存在なので上から目線で常識欠如(麦藁)。
それぞれがこういったテンプレ通りで、そこから踏み込んだり深めたりといった会話やイベントは有りません。
印象的な台詞も記憶にございません。
ただ、それぞれがテンプレキャラとしての役割は果たした感はありますし、テンプレ通りだからといって嫌なキャラだったわけでもないので、主人公と大地の両名が参加しない会話の雰囲気はそれほど悪くありませんでした。

・サブキャラ
ヒロイン達より酷いです。
まず全員声無し。
教室でのシーン等でかなり絡んでくる大地にも声が無いので、声のあるヒロイン達との会話では違和感が半端ないです。
これなら存在理由が主人公との対比にしかない大地自体、不要だったとすら思います。
大地を酷い扱いにして相対的に主人公を持ち上げるという、ダメなやり方の見本のようなものなので。
他のサブキャラさん達は、ストーリー進行の必要に迫られて出てきては、必要最小限の台詞を吐き出して帰って行きます。
一昔前のRPGの村人NPCみたいです。

■ビジュアル
差分によって、服の色やら肌の色が若干違っている事があります。
アドオンで追加した分にフィルタを掛け忘れたとか処理の入れ忘れなのでしょうけど、既読スキップを多用する当作においては特に、チカチカして不快です。

スクリプトのミスなのでしょうが、立ち絵の指示が間違っている所が多々あります。
喋っている(音声が流れている)キャラが消えて本来その場にいない別キャラの立ち絵が表示されたり、台詞1つ前は制服だったのに立ち絵の表情が変わったら浴衣になっていたり。
それとは別に背景の間違いもありました。
会話中、急に背景が空になるとかもうギャグにしかなりません。
I can fly.
デバッグをやっていない証拠ですね。

ただ、これまた冒頭で述べましたが、キャラクター自体は非常にカワイイです。
加えて全体の質の割に、塗りもちゃんとしています。
むしろ良い方だと思います。
作品としての作業の遅れが、絵の責任によるところではなかった事をうかがわせます。

そしてまさかのムービー無し。
エンドロールも無し。
世間的にはエンドロール(スタッフクレジット)は不評みたいですが、私は無いとガッカリします。

■音まわり
主人公以外にヴォイスの無いキャラがいると違和感を覚えるようになっていた自分に驚きました。
意図してなのか偶然なのか、蛍の声と喋り方が雰囲気出ていたように思います。
逆に渚の人の喋り方は合いませんでした。
演劇的というか、敢えて作った感じの抑揚で。
声の人以外の点では、音声のカットミスで途中で切れてる台詞などがあって気になりました。
あと、ささいな事では有るのですが、射精時の効果音は何故この音を選択したのか疑問に思うものでした。

■満足度
新品購入時でも、箱を開けたら萌えゲーアワードコードが印字された例の白いペラ紙と、ゲームディスクしか有りません。
マニュアルやユーザーはがきの類は不在。
あってもどうせ見ませんけど、無いのはびっくりしました。
某社のようにPDFになってデータで存在するわけでもありません。
ゲームを起動すると、メニューに「マニュアルへ」と表示されています。
蛍と麦わらが音声付きで説明してくれますが、トラブルシューティング的な内容ではありません。
そもそも起動できないトラブルとかだったら、ゲーム内にあっても意味がありません。
そして萌えゲーアワードのペラ紙、表記が「萌えゲーアワード」の前身である「美少女ゲームアワード」のままで、その下に記されているサイトのURLも美少女ゲー時代のままでした。
あまりにも手抜き過ぎ。
スタッフの誰も指摘しなかったのでしょうか。
中身はと言いますと、誰にでもわかるような誤字脱字が頻出したり文頭(行頭ではない)に何故か句読点があったり、テキストに無い台詞がボイスで流れたり、逆にテキストにあるのにボイスが無かったり等、デバッグがされてない事を如実に物語る出来。
表情差分がアドオンとして発売日の夜にネット配信されましたが、これは制作が間に合わなかったのでしょうか、それともチェック的な意味合いなのでしょうか。
どちらにせよアドオンが出ると公表されている以上、私の場合はそのパッチを当てるまではプレイできませんので、配信は遅くとも発売当日の朝には行って欲しかったです。
斯様な具合に、制作側のいい加減さといいますか、やる気の無さといったのようなものが露骨に見える状態ですので、テンションもだだ下がりです。
ゲームとしての内容以前の問題でここまで印象を下げてしまうのは、間違いなく損をしていると思います。
ただでさえ内容もアレなのですから、必要以上の失点は避けるべきでしょう。

ただ、何度も言いますが絵の質は良いです。


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めたすら

季節ゲー、田舎ゲー、雰囲気ゲーが好物。バカゲーは別腹。 無気力主人公は苦手。 予約購入したエロゲを写真で残す奇癖有り。(Twitterのモーメント参照)

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